誰がための日々
スタッフ

ウォン・ジョン

監督:ウォン・ジョン(黄進)
香港城市大学クリエイティブメディア学院で映画芸術を学び、2011年に卒業。短編『三月六日』が第49回台湾金馬奨優秀作品賞にノミネートされる。同年IFVAコンペティション部門(オープンセクション)でグランプリを受賞したほか、高雄映画祭でメディア審査員賞受賞、鮮浪潮短編映画祭で最優秀脚本賞受賞、クレルモン=フェラン国際短編映画祭正式出品、パリ映画祭、全州映画祭など、各国で高い評価を受ける。その後、映画の脚本の仕事に従事。2016年本作が長編デビュー作となり、各国で高い評価を受け、アジアで最も次回作が注目される監督の一人となった。

ディレクターズ・ノート
この映画はとにかく香港の人々に見てほしい作品です。
私たちはどのように問題と向き合い、目覚め、自分の置かれている状況を変えることで自分に自信を持ち、そして変化を探し求めていくのでしょうか。その問題はもう腐りきっていたとしても、そして逃げることにずっと甘んじていたとしても、私たち自身の自由というものを意識するだけで、できる選択、修復できる関係、変えられる事は、往往にして思いのほか多くあるのです。
あなたがそう願いさえすれば、私たちは毎日新しい自分を作り上げることができるのです。
私たちはこの作品に登場する父と子であり、またその周囲の人々でもあります。
板で仕切られた部屋の隣人たちも、同じく抑圧された人々です。それなのに団結して立ち上がる訳でもなく、自然と自分より弱い者を抑圧していきます。皆、悪人ではありません。しかし自分では意識しないままに、ある時はその弱さから、ある時は無知から、私たちはしばしば暴力的な傾向に走ってしまいます。これは至って普通にある悪で、私たちの社会を反映しているものです。
人間は本来、善でも悪でもありません。ただ生活のなかで敏感に、批判的な目を持ちながら一つ一つ選んでいくことしかできません。恐る恐る学びながら、より良い人間になっていくのです。それは映画製作を学ぶことと同じです。
僅か200万香港ドルの厳しい製作予算は、二人の素晴らしい俳優にはまったく釣り合うものではなかったのですが、お二人とも何も言わずにギャランティー無しで参加してくださいました。これには大変感激しました。そして、ほかにももう一つ、素晴らしいテクストと創作物は、人の心に訴えかけ、人を結びつける事が出来るということを確信させてもらえました。創作にはその力があるのです。


フローレンス・チェン

脚本家:フローレンス・チェン(陳楚珩)

脚本家からのメッセージ
この物語は、主役が一夜のうちにして世界を救うヒーローになり、そして皆が幸せで楽しい生活を送って生きていく、という話ではありません。現実の世界では、私たちがどんなに一生懸命努力したところで、まったく歯が立たない時があります。私たちは幼い頃から、裕福であるべき、成功を収めるようにと社会から教えられてきました。とりわけ男性は、ヒーローのように強く勇敢で、男らしさを要求されます。
しかし実際には、いかなる年齢、性別、社会的地位であっても、恐れや痛み、弱さを持っているのです。
私たちにとって、映画は非常に強力でかけがえのない媒体です。観客は劇場の椅子に座って90分間、性別も、国籍も全く異なるこの世界の片隅にいる、ある人の人生を体験できます。レッテルを貼られた精神疾患の患者。さげすまされる失敗者。もし私たちが彼らの話に注意深く耳を傾けていたら、レッテル(が貼られた部分)だけを見るのではなく、あなたと同じく生き生きとした生身の肉体と感情を持った人間だとわかるでしょう。ひょっとしたら、彼とあなたは同じ痛みを経験しているかもしれないし、あなたは幸運にもまだ失敗を経験していないだけかもしれない。それで、他人の痛みがよくわからないのかもしれません。でもあなたが映画館から一歩外に出たら、きっと違っているはずです。おそらく心の痛みは少しだけ軽くなっているはずです。ひょっとしたら他人の痛みを思いやることを理解したかもしれませんし、自分の弱さを許して、失敗を認め、再びゆっくりと立ち上がり、より良い人になることを学んだかもしれません。
傷つけることは、しばしば相手を理解していないことから始まります。無知が日常の邪悪な心を生み出すのです。世界を良くしたいのなら、スーパーヒーローを待ち望んでいてはいけません。映画の最たる強みというのは、観客が役者の感情のひだを感じ、その感情を共有できることです。このようにして人を結びつけることによって、世界ははじめて美しくなるのです。私たちはまだこの為に少しずつ努力をし、謙虚な気持ちを持って目の前の道をしっかりと歩いていかなければならないのです。


キャスト
ショーン・ユー(余文樂)
エリック・ツァン(曾志偉)
エレイン・ジン(金燕玲)
シャーメイン・フォン(方皓玟)

アイバン・チャン(陳學文)
シュイ・ジエ(稅潔)
ブライアント・マック(麥子樂)
ピーター・チャン(陳彼得)
ン・シウヒン(吳肇軒)

スタッフ
監督:ウォン・ジョン(黃進)
脚本:フローレンス・チャン(陳楚珩)
プロデューサー:デレク・チウ(趙祟基)
ヘイワード・マック(麥曦茵)

一念無明有限製作公司

撮影:チャン・イン(張穎)
照明:チャン・ヨクチュン(張玉泉)
美術:チャン・シウホン(張兆康)
衣装:ロー・カーワイ(羅嘉慧)
プロダクションマネージャー:ン・ホイヤン(吳凱恩)
助監督:サム・イップ(葉兆聰)
音楽:波多野裕介
サウンドミックス:ボーン・チャン(陳智豐)
音効:イップ・チュンホー(葉俊豪)
視覚特効:PAPERBOX CREATION
ポストプロダクション:喜鵲媒體有限公司
編集:ウォン・ジョン(黃進)


2019年2月2日(土)新宿K's cinema 他順次公開
配給:スノーフレイク ©Mad World Limited